2008年 04月 27日
五月病と漢方 |
4月22日付け毎日新聞富山版に掲載された記事を転載します。
「ご近所のお医者さん」という連載への投稿第5弾です。
新入生や新社会人が、入学や入社から一ヶ月ほどたった五月頃になると、
元気がなくなり、ふさぎこんだりして、学校に行けなくなったり、
仕事が続ける気力がなくなったりすることを「五月病」と呼んでいます。
この概念は、ハーバード大学のウォルターズが報告したもので、
スチューデント(=学生)・アパシー(=無気力)ともいわれています。
新しい環境に移った4月は緊張して過ごしますが、
GW明け頃には緊張がとれ、気分が落ち着いてきた時に五月病は起きやすいのです。
通常は一時的なものですが、この無気力が年中継続することや、
うつ病に進む場合もありますので注意が必要です。
漢方医学では、このような状態を気の異常として考え治療します。
体がだるい、気力がない、疲れやすいなどの症状は「気虚」の病態と診断します。
生命を維持するためのエネルギーである気の量が不足してしまった状態です。
気を増やす作用のある薬用人参を含む漢方薬で治療します。
補中益気湯や十全大補湯などがその代表薬です。
抑うつ気分、喉のつかえ感、胸のつまり感などの症状は「気鬱」の病態と診断します。
気がうまく巡らない状態で、香蘇散や半夏厚朴湯などの漢方薬を使って治療します。
いずれにしても、ひとりで思い悩まずに、家族や同僚に相談し、
必要に応じて医療機関への受診が大事です。
「ご近所のお医者さん」という連載への投稿第5弾です。
新入生や新社会人が、入学や入社から一ヶ月ほどたった五月頃になると、
元気がなくなり、ふさぎこんだりして、学校に行けなくなったり、
仕事が続ける気力がなくなったりすることを「五月病」と呼んでいます。
この概念は、ハーバード大学のウォルターズが報告したもので、
スチューデント(=学生)・アパシー(=無気力)ともいわれています。
新しい環境に移った4月は緊張して過ごしますが、
GW明け頃には緊張がとれ、気分が落ち着いてきた時に五月病は起きやすいのです。
通常は一時的なものですが、この無気力が年中継続することや、
うつ病に進む場合もありますので注意が必要です。
漢方医学では、このような状態を気の異常として考え治療します。
体がだるい、気力がない、疲れやすいなどの症状は「気虚」の病態と診断します。
生命を維持するためのエネルギーである気の量が不足してしまった状態です。
気を増やす作用のある薬用人参を含む漢方薬で治療します。
補中益気湯や十全大補湯などがその代表薬です。
抑うつ気分、喉のつかえ感、胸のつまり感などの症状は「気鬱」の病態と診断します。
気がうまく巡らない状態で、香蘇散や半夏厚朴湯などの漢方薬を使って治療します。
いずれにしても、ひとりで思い悩まずに、家族や同僚に相談し、
必要に応じて医療機関への受診が大事です。
by tanikawaiin
| 2008-04-27 22:46
| 毎日新聞記事