年越しそば

　12月26日毎日新聞掲載分です。

　年越しそばの風習が広まったのは江戸時代の中ごろで、
町人の間で始まったといわれています。
その由来は、
そばのように細く長く長寿であることを願ったという説が最も一般的なようです。
ほかに、そばは切れやすいので、
１年間の苦労を切り捨て翌年に持ち越さないよう願ったという説や、
金細工職人が作業場に散った金粉をそば粉の団子で集めたことにちなんで、
金運を願ったという説などがあります。
　そばにはルチンという物質が多く含まれ、血管を丈夫にしたり、
血圧の上昇を抑えたり、コレステロール代謝を改善したりと、
動脈硬化の予防効果が期待されます。
しかしルチンは水溶性のため、茹でると茹で湯の中に溶け出してしまいます。
そば湯を飲む風習は信州で始まり、江戸に広まったとされます。
現代栄養学を知らなかった昔の人が、そば湯を飲むことを勧めたのは、
そば湯が健康によいことを経験的に知っていたからなのでしょう。